第二次世界大戦中を描いた漫画と言えば「はだしのゲン」、学校図書館などにもあり、読んだことがある方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
戦争は大人の目線ではなく、その中の弱者とも言える【子供】が戦争を生き抜いていく様を描いていますが、描写が「グロテスク」だと問題視されたこともありました。
しかし、現実はそんな「グロテスク」な世界よりも、もっと悲惨な現実を目の当たりにしていたのでしょうね。今回はタイトルやモデルについて調べてみます。
【はだしのゲン】タイトルの意味や由来は?
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原作者の中沢さんの被爆体験を元にした、自叙伝的漫画となります。
【はだしのゲン】原作や中沢啓治さん
始まりは1972年の10月号「別冊少年ジャンプ」の【自叙伝企画第二弾】として掲載された【おれは見た】が元になっています。
その自叙伝を元に脚色を加え、1973年25号の「週刊少年ジャンプ」から連載がスタートしました。
中でも徹底していたのは、自分の思いを【伝える】という意思の元、妻以外のアシスタントを置かずに、全て中沢さん自身が描き上げたこと。
あれだけの連載ならば「アシスタント」がいて今なら当然ですが、それだけ【悲惨な戦争の現状を子供の視点】から描くことを大切にしたのでしょう。
そして、「週刊ジャンプ」は読者の人気投票により、【打ち切り】となることもありますが、中沢さんの作品の人気は決して良いものではありませんでした。
しかし、編集長のはからいでいかなる時も、中沢さんが望めばページを割り当て、オイルショックで紙面が減らされてもバックアップを続け
ついに、1974年39号で連載が終了するまで、「はだしのゲン」は中沢さんとともに走り続けました。
しかし、単行本化は人気投票により集英社ではされませんでした。しかし、朝日新聞の記者が興味を持ち、生原稿を読み記事にする際
単行本の存在がないと、記事にしても興味を持ってもらえない。という理由から、記者を通じて【汐文社】を紹介され、そこから単行本として、全4巻発売されました。
【はだしのゲン】タイトルの意味や由来は?
「はだしのゲン」の主人公は中岡元です。国民学校の2年生の男の子で、原爆が投下された広島市に住んでいました。
原爆により父、姉、弟の3人を亡くしましたが、その後もたくましく生き抜くさまが描かれています。
まだ家族が健在であった時、農作物を育てながら貧しいながらもつつましく暮らしていましたが、
父が下駄の絵付け職人であった父大吉は、「こんなことでアメリカには勝てない」と発言したことから
【非国民】とののしられ、納品する下駄を川に投げ込まれたり、畑を荒らされるなど陰湿な嫌がらせを受けました。
そんな中でも一番上の兄は【非国民】ではないことを証明するかのように、海軍に志願しました。
そして、2番目の兄は疎開し、残る家族母、姉、元、弟、は広島市に残りそこであの日被爆したのです。
「はだしのゲン」は【非国民】とののしられ、当時の庶民の足を守っていた下駄を生業としていた父が、仕上げた下駄を捨てられた悲しみから
元は【裸足】で非国民とののしられようと、敗戦した国の中でたくましく生きていく決心した気持ちがあらわされているのではないのでしょうか!?
「日本は負ける」と言うと、作り上げられた下駄を捨てられ、【非国民】とののしられた悔しさは、元にたくましさを与えたのでしょう。
ちなみに英語版では「barefoot gen」とされており、【barefoot 】は裸足を意味しています。世界共通で同じ言葉を使うことは、珍しいのではないでしょうか。
【はだしのゲン】元ネタやモデルはいるの?
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では次にモデルについてみて行きましょう。
【はだしのゲン】元ネタやモデルは?
元々「別冊少年ジャンプ」の企画で【自叙伝漫画】として、中沢啓治さん自身の戦争体験を、自叙伝として漫画化したのが始まりです。
実際には父は下駄の絵付け職人ではなく、漆塗りをしていた家系に生まれて今師が、蒔絵や演劇活動なども行っていたため、【思想犯】として、
約2か月の拘束・拷問をうけていました。生まれ育った場所は同じところで、亡くなった家族も兄弟構成や、被爆時に塀の影にいたことも一致しています。
そして、その後被爆後に母は出産しましたが、生後間もない「友子」は4カ月で死亡しました。
ほとんどが実体験を元に、手塚治虫の影響を受け、働きながら、漫画を描いては投稿する生活をしていました。
なので戦後の生活については、広島市民の日常生活が脚色して描かれているようですが、ほぼすべては中沢さん自身の体験によるものです。
ツイッターの反応は?ドラマの感想は?
2007年にフジテレビが2夜連続ドラマとして、前後編制作されました。
はだしのゲン
映画やドラマではよく見てたが
あらためて原作を読んでいる
みんなも読むべき— hooping (@hooping) August 25, 2021
ゴールデン帯のドラマで原爆投下直後の黒焦げな生存者を出すって、
はだしのゲンでさえ何かと問題になる今の時代にかなりつっこんだ表現だったんじゃないかな…ドラマ的にはずっと不在なのに志野ちゃんの旦那さん帰ってきて泣いちゃったし、水原ァァ!生きとったんかーー!#この世界の片隅に
— あっしゅ (@_ash235_) September 16, 2018
めっちゃ感情輸入しやすいからさ、
実話を元に戦争系ドラマ見る時とか、
覚えててもう一度見たい時とか、
使命感もあるのよね。堀北真希と藤原竜也のドラマもっかい見たい。
あと、実写版はだしのゲンとか大和とか。広島県民としてのメンタルだわ。
— Rio/Reiya @歌みた★ギラギラ (@RioGorokuWarota) September 1, 2020
このドラマが「自叙伝」が元になっているので、真実味があり心に突き刺さる部分が多すぎて、綺麗に描かれたアニメーションもいいですが
中沢さんのタッチだからこそ、ますます現実味を帯び、その漫画を読んだ人たちがドラマを見ると、ますます身近に感じるのではないでしょうか・・・!?
「はだしのゲン」これは、表現どうのこうので片付けてはいけない、貴重な作品で、原作はもちろん、ドラマとしても絶対に風化してはいけない作品だとおもいます。
まとめ
・原作は中沢啓治さんの自叙伝
・タイトルは元の父が下駄職人で【非国民】とののしられ、下駄を捨てられていたことから来たと思われる。
・モデルはほぼ中沢啓治自身の体験と、広島市民の戦後の生活
・Twitterでは忘れられないドラマとして、人々の心に残っている。
8月というと様々な「戦争関連」作品がドラマなどで、放送されますが近年その数が減っている気がするのは、私だけでしょうか!?
戦争を体験した方々はすでにご高齢になり、語れる方は90歳前後になっているでしょうか・・・。
「語り部」が亡くなったとしても【作品】はこの世に残り続けます。よく「写真は後世まで残る」といわれますが、それは紙に印刷されているので
保存状態が良ければ、何年でも風化しないということです。「はだしのゲン」の単行本についても、ボロボロになるまで読み込まれても後世に残していかなければいけませんね。
そして、原作の描写が・・・という方にはやはり「ドラマ」が忠実に再現されているので、ドラマを見て欲しいですね。