WOWOWにて2022年ドラマ化された「両刃の斧」は、大門剛明さんが2019年2月に発表した、
サスペンス小説が原作となっています。娘を殺害され、その後妻の介護をしていた元刑事の夫。
15年前の娘の事件の真相を知ることができるのか!?今回はこの小説のタイトルの意味や由来について調べます。
両刃の斧の原作者について!タイトルの意味や由来は?
両刃の斧
今話題の柴田恭兵さんが出演してらっしゃる。
今から観ます。 pic.twitter.com/8Hujkqdodl— ずいஐ (@uVhJanyeXnfFely) May 26, 2024
ではまず原作者について詳しく見ていきます。
両刃の斧の原作者について
名前 大門剛明
本名 大谷剛史
生年月日 1974年9月25日
出身地 三重県
出身校 龍谷大学文学部哲学科教育学専攻
職業 小説家
デビュー 2009年
2009年に『雪冤』にて、「第29回横溝正史ミステリ大賞大賞」と、「テレビ東京賞をダブル受賞」を受賞し、
本格的に小説家としてデビューした。これは現代日本における問題となっている、
「死刑制度」と「冤罪」をテーマとした作品で、多くのメッセージとこの問題に問いを投げかけるものとなった。
そして2010年には橋爪功さん主演でドラマ化され、多くの話題を呼んだ作品となった。
その後も司法制度に鋭くメスを入れるような作品を数々執筆し、話題作となりドラマ化される作品を多く発表している。
頭の中で考えるのではなく、実際に無期懲役の囚人に取材を行うなどして、作品に真実味を持たせたものが多いのが特徴となっている。
小説
・正義の天秤シリーズ
・不協和音シリーズ
・確信犯
・この雨が上がる頃シリーズ
・獄の棘シリーズ
・テミスの求刑
・完全無罪
・シリウスの反証
ドラマ化
・雪冤(テレビ東京2010年)
・冬の特選企画 罪火(テレビ東京2014年)
・テミスの求刑(WOWOW2015年)
・正義の天秤(NHK2021年)
・不協和音 炎の刑事 VS 氷の検事(テレビ朝日2020年)
・完全無罪(WOWOW2024年)
タイトルの意味や由来は?
ストーリーの主人公となるのは、元刑事の柴崎佐千夫。15年前に娘を殺害されており、今は妻の看病をしている。
娘の殺害事件は「未解決事件」となっており、「専従捜査班」が立ち上がることとなった。
佐千夫の娘曜子が殺害されたのは15年前。しかし真犯人は見つかったが逮捕直前で何者かに殺害された。
曜子は日ごろからストーカー被害に遭っており、警察にも被害を相談していた。
その真犯人は鑑識課の「森下」という男性だが、当時の捜査一課長白井によりもみ消しにされたため、事件は未解決となった。
白井は森下に自分の不正の事実を握られ、被害などについてなかったこととしたのだった。
森下は普段の素行が悪く、脅迫やストーカー、挙句には飲酒運転事故を起こして鑑識課を退職していた。
しかし、森下が殺害されたことにより、柴崎がその犯人とされたのです。
それは白井の「殺人未遂」を起こしたため、15年前の復讐として殺害を企てたというのです。
刑事として模範となっていた柴崎。しかし彼の家は、曜子が殺害されてから、次女が白血病で亡くなり、
妻も「余命1年」と宣告され、柴崎はそれから「苦しみ」の中にいたのです。
しかし、すでに刑事を引退していた柴崎に、白井の不正を知るすべはありませんでした。
そのため、15年前の復讐として白井の殺人を企て、森下を殺害した。という結論に疑問を持つ者もいました。
それを裏付けるように、現場では「別の男」が目撃されており、凶器も発見されていなかったのです。
この事件の捜査にあたったのは、柴崎の後輩にあたる川澄でしたが、彼も事件に疑問を抱いていました。
15年前の事件からさかのぼり、川澄は真実を突き止めることにしました。柴崎が「犯人の汚名」を着ているのはなぜか!?
森下が起こした飲酒事故について、新たな事実が判明したのです。その事実は白井によりもみ消されていました。
実際は白井がシングルマザーに別れを告げた後、子供の目の前で彼女をひき殺していたのです。
そしてその「子供」は姓を山田に変えて刑事となり、川澄の娘の婚約者である事実が判明しました。
柴崎は逮捕の前に「血液が別人のものと鑑定される場合はあるのか?」と質問していました。
それは鑑識の機器の精度が低い場合や、「骨髄移植」などを行った場合、違う結果が出ることを指していました。
柴崎は娘が白血病になった時、「ドナー登録」をしており実際に骨髄提供をしていました。
もちろん柴崎は誰に自分の骨髄が移植されたのかわかりませんが、山田がかつて骨髄提供を受けていました。
しかし山田の骨髄提供者は、伯母であり柴崎ではなかったのです。
森下を殺害し、白井を殺害しようとした人物は山田かと思われましたが、
彼は「母を殺害した男」として、森下の自宅を訪れたことがあり、それが柴崎が「殺人未遂」で逮捕された時、
「別の男が目撃」された真相だったのです。柴崎は逮捕されてからずっと黙秘を続けているので、
当日のことを聞きだすことはできませんでした。しかし川澄は一つの仮説を立てました。
森下が凶器を購入し、過去の制裁として白井に襲いかかり、もみ合いになるうちに、森下は亡くなったという事です。
しかし、ここで新たな事実が判明します。曜子は当時専従捜査班の班長の梶野と交際していたという事。
そして、柴崎が森下の家に行ったのは、彼から脅迫され金を要求されたからでした。
次々と明るみになる真実。そして15年前の事件についても真相が明らかになってきました。
それは姉の元気がなく、元気づけようとした妹の存在。曜子はストーカー被害で常に恐怖を抱いていましたが、
それを知らない妹は、姉を元気づけようと部屋に隠れて驚かせようとしたのですが、それが裏目に出てしまい、
人の気配を感じた曜子は、包丁を手に取り、何者かもわからない影に包丁を振りかざしたのです。
それが妹だったのです。そして妹は落ちた包丁を拾い上げると、不幸にもその刃先が曜子の首を斬ってしまったのです。
その場で頸動脈に重傷を負った曜子は亡くなり、その真実を柴崎はずっと隠していたのです。
そして、柴崎がかつて質問下「血液が別人のもの」というのは、次女の白血病による骨髄移植を意味していました。
それは「実の妹が姉を殺害した」という真実が、公になると妻のの様態が悪化するのを心配していたのです。
そこで柴崎は自ら白井に襲い掛かり、「復讐殺人」を偽装していたのですが、妻は真実を知っていて夫に話していませんでした。
「警察」という立場の中で、それぞれの思惑を抱いて、様々な事件が交錯していくのですが、
タイトルになっている「両刃の斧」について、記述している箇所がありました。
「両刃の斧はラブリュスと言って、怪物の閉じ込められた迷宮に掲げられていたそうです。ラブリュスはラビリンス、迷宮の語源とも言われています」
「迷宮を切り拓こうとするあなたの刃が、あなた自身や、大切な人を傷つけることにならないといいですがね」
つまり未解決事件に、突破口を開こうとする川澄に対し、真実を突き詰めることが、
川澄の大切な人を「傷つける」結果になるかもしれない。という事です。
15年前に柴崎を襲った悲しい事件。未解決のまま後輩の川澄がその真相にたどり着こうとしたとき、
彼は「真実を切り開く」ことで、柴崎のように大切な家族を失うかもしれない。と言われたのです。
しかし、その言葉に屈することなく、15年前の真実にたどり着いた川澄。そこには警察内部の悪や、
娘を守ろうとする柴崎の姿があったのです。タイトルの意味として、真実にたどり着くことが「両刃の斧=ラビリンス」を意味していました。
元ネタやモデルはあるの?Xの反応は?
#両刃の斧 全6話 初観#WOWOW ドラマは容赦ないですね…。泣かずにはいられない。皆どんな思いで生きていたんだろう…辛すぎる。凄く良かったです。#柴田恭兵 さん… #空飛ぶ広報室 や #軍師官兵衛 も凄かったけどコレもまた素晴らしい演技でした。#井浦新#高岡早紀#風吹ジュン#奈緒 #坂東龍汰 pic.twitter.com/ZYJwfEUjki
— たもん|物語大好きカウンセラー (@tamon1st) July 17, 2024
警察とは悪を正すものですが、「不正」が真実を視えなくしていました。
元ネタやモデルはあるの?
では「両刃の斧」に元ネタや、モデルはあるのでしょうか!?
一時期警察の不祥事が、次々に明るみになり、信用を失墜することが頻発したことがありました。
警察官が犯罪に手を染めたり、裏社会とのつながりを持つなど社会から批判を大きく浴びました。
そのような真実を告発したのが、警察OBの幕田敏夫さんによる「警察署員によるヤミ仕事」などにより、
より国民の知るところとなりました。今回の「両刃の斧」はまさに警察内部の不正を秘密にしようとした白川の行いや、
警察という立場を利用して、自身の不正をもみ消した森下。そして、警察がどんな組織であるか知り尽くした、
元刑事の柴崎の自宅で起こった悲劇。そして家族を守るために15年胸に秘めていた事実。
それを明るみにしようとした後輩、川澄の存在により、柴崎は「復讐」を偽装したのです。
この原作のモデルは、まさに発表された頃にもまだ多くの問題をはらんだ、警察内部にメスを入れた作品となりました。
Xの反応は?
Netflixの「両刃の斧」
超オススメ。こんなにも泣いた作品は初めて😢柴田恭兵・井浦新の魂の演技が心を揺さぶる。人間が持つ家族愛、夫婦愛、姉妹愛、師弟愛… 様々な愛がその表情を変えてめまぐるしく交差する。まさかの展開にあらゆる感情が引き出される素晴らしい作品。 pic.twitter.com/4GiXY4eCwL
— トム・イシカワ(石川 智規)|WEBSTAFF, Inc. (@tomonorix0805) July 21, 2024
両刃の斧(ドラマ)
目の前の相手に斧を振り上げたつもりが後ろにいる誰かを傷つける──
何度も何度も心を抉る展開、ある決意のもと己の信念を貫き通す父の姿に、怒りと悲しみに支配されそうな心を必死に抑える姿に震えた。
つまり柴田恭兵がカッコ良すぎて惚れた。男泣き必須! pic.twitter.com/Q41eVVw6bA— ドルエン (@PunkMetalMovie) June 19, 2024
大河で謙信演ってたのをチラッとだけ、それから「日本の面影」で小泉セツの弟を演じてたのしか見てなかったが、先日「帰ってきたあぶない刑事」を見て以来「柴田恭兵ええな〜」となっとります。そんな訳で、今日の制作のお供は「両刃の斧」。泣いた。切ない。愛し合っててもすれ違う事ってあるのよね… pic.twitter.com/s2MqH2njAB
— 有子 (@plum_of_eaves) June 19, 2024
家族を守ろうとした柴崎の姿に、「男泣き」する人が続出するような、素晴らしい仕上がりになっているようですね。
まとめ
・原作者は多くの作品がドラマ化されている大門剛明さん
・タイトルの意味は「ラビリンス」の語源からきている
・元ネタは実際の警察の実態にメスを入れた作品になっている
・SNSではそれぞれの守る者を守ろうとする姿に涙する人続出
今回は大門剛明さん原作の「両刃の斧」のタイトルの意味について調べました。未解決事件を「迷宮」とたとえ、
迷宮の語源となった「ラブリュス=ラビリンス」が元になっていることがわかりました。
その「迷宮=未解決事件」の真相にたどり着くとき、少なくとも誰かが傷つくことを意味していました。