「シャイロックの子供たち」は【倍返し!!】で有名となった、ドラマの原作者である池井戸潤さんの著書です。

なぜシェイクスピアの「ヴェニスの商人」に登場する、強欲な金貸しの【シャイロック】が登場するのか!?

 

様々な角度から、そのタイトルの由来や意味などを調べていきます。

 

シャイロックの子供たちのタイトルの意味や由来は?

2022年にドラマ化、2023年に映画化されています。

 

シャイロックの子供たちの原作者について 

名前   池井戸潤

生年月日 1963年6月16日

出身地  岐阜県

デビュー 1998年

代表作

・果つる底なき

・鉄の骨

・下町ロケット

・半沢直樹

・空飛ぶタイヤ

受賞歴

・1998年 第44回江戸川乱歩賞

・2010年 第31回吉川英治文学新人賞

・2011年 第145回直木三十五賞受賞

・2023年 第36回柴田錬三郎賞受賞

 

子供の頃から国内に限らず、「ミステリー」が好きで、特に【江戸川乱歩賞】を受賞した作品は読んでいた。

慶応義塾大学の法学部を卒業後、当時の三菱銀行に勤務する。しかし、32歳の時に退職し、

 

前職を活かし「コンサルト業」を行いながら、ビジネス書の執筆なども行っていた。そこで「ビジネス書」には限界がある。

という事に気づき、幼いころに好きだった「江戸川乱歩賞」を目指し、テーマを広げて執筆したが、

 

1度目の選考では落選してしまった。しかし2度目の挑戦で「果つる底なき」にて念願の江戸川乱歩賞を受賞。

1998年に小説家デビューとなる。「元行員」という経験を活かし、金融業界を描いたり、

 

中小企業を描くなど、企業を題材にすることが多いが、本来の「ミステリー好き」が高じて、

単純に「楽しんで欲しい」という気持ちで、【シャイロックの子供たち】は誕生した。

 

シャイロックの子供たちのタイトルの意味や由来は?

「シャイロックの子供たち」は、東京第一銀行長原支店を舞台に「百万円」という金額が紛失したことから始まります。

この銀行での社内恋愛、営業成績を上げたい行員、そして事件の裏に隠された人間模様。

 

なぜタイトルに「シャイロック」はシェークスピアの戯曲に登場する、強欲な金貸しの人物の名前があるのか?

原作のタイトルには【子供たち】とあります。銀行は【融資】という形で、企業に大金を貸し付けます。

 

つまりモデルとなった「シャイロック」のように、この東京第一銀行長原支店の中で、様々な強欲な人物の思惑がめぐり、

「百万円紛失事件」が起きたのですが、そこには偶然が重なり、まったく関係ない窓口の女性が犯人にされます。

 

しかし、それをかばったのは直属の上司西木だけでした。犯人にされたのは部下の愛理。しかし、なぜ休憩室の彼女の文庫本に、

百万円の帯が挟まっているのか!?そもそもそこが不自然だという事。誰かがわざと挟んだとみる方が自然。

 

このようにシェークスピアの時代に登場した、強欲な金貸しのシャイロックは時代を変え、

【金貸し】は【銀行】へと姿を変え、様々な欲が絡み合い、強欲なシャイロックのような人々が事件を複雑にしていきます。

 

その真犯人に迫りながら、この事件に関わった【金に強欲】な人物を、「まるでシャイロックのようだ」という意味合いもあり、

強欲な人物複数を示すため、【子供たち】と揶揄したのかもしれません。ストーリーは「百万円足りない」から始まりますが、

 

この事件の真相に迫っていくと、何十億というお金が裏では動いており、人間模様もとても複雑になっていきます。

そして、ラストは真相にたどり着かないまま、ミステリーとして終わります。池井戸潤さんの「エンターティメント」がそこにあります。

 

「シャイロックの子供たち」というタイトルは、シェイクスピアの戯曲に登場する強欲な「シャイロック」に由来し、

その強欲さを現代に置き換えて、ミステリー小説とし、タイトル象徴として「シャイロック」を登場させたのでしょう。

 

シャイロックの子供たちの元ネタやモデルはいるの?

ではこの「シャイロックの子供たち」にモデルはいるのでしょうか?

 

シャイロックの子供たちの元ネタやモデルは? 

池井戸潤さんはプロフィールでも紹介したように、慶応義塾大学の法学部を卒業後行員として働いています。

それは昭和のバブル時代の到来から、バブル崩壊までを銀行で過ごしています。バブル時代に貸し付けて、

 

バブル崩壊後に貸し付けたお金が回収できない。ということは日常茶飯事のさなかにいたのではないでしょうか!?

そのため、「シャイロックの子供たち」は読者に、単純にミステリーを楽しんで欲しいという思いで、

 

最後まで読んでもはっきりとした【真犯人】が登場せず、読者の想像で終わります。現実ではもっと大変な時期に、

池井戸潤さんが行員として、騒動のさなかにいたことが、このストーリーのモデルとなっているのかもしれません。

 

「百万円が足りません」という言葉の真実に迫っていくと、違う支店で貸し付けたお金が、不動産投資の失敗により、

全く回収できなくなり、担当者は「栄転」で長原支店に異動したのですが、その後もその企業は名前を変え、

 

【架空融資】で業績を上げるだけでなく、過去の返済に充てるお金にしようとした思惑が大きく裏切られ、

仕方なく利子の「毎月100万円」を支払えなくなった企業のことがばれないよう、最初の「百万円が足りません」に繋がります。

 

しかし、これは思わぬ形で解決するのです。翌日には「百万円」が出てきたのです。これは実は身内で出し合い作った「百万円」であり、

この時はまだ、裏で「何十億」という損失が出ていることに、行員たちは気づいていませんでした。

 

バブル全盛期と、バブル崩壊を「行員」からの視点で見てきた、原作者池井戸さんならではの作品なのではないでしょうか!?

そしてこのストーリーの主人公とは誰だったのか!?誰がこの事件の発端になったのか!?そこを解き明かすのは、

 

小説の読者であり、ドラマや映画を観た視聴者が、それぞれに結末を想像することになります。

※バブル景気は1980年後半から始まり、1993年には「バブル崩壊」と泡のように土地の価格も下落しました。

 

ツイッター(X)の反応は?

ラストが曖昧なので、「また観たい」となる作品となり、「銀行」という社会を描きながらも、人間の中のどろどろとした、

生臭い世界を描いているのが、この作品だと見る方もいらっしゃるようですね。

 

まとめ

・「シャイロックの子供たち」の原作者は元銀行員の池井戸潤さん

・タイトルの由来は【銀行】という中に、強欲なシャイロックのような人間模様が描かれている

・モデルはまさにバブル全盛から崩壊まで、行員として過ごした池井戸さんの経験なのではないか?

・SNSでは評判が高く、銀行という社会を描きながら、人間模様を見事に描き出している

 

今回は、元銀行員から小説家に転身した、池井戸潤さんが読者に「楽しんで欲しい」と執筆した、

「シャイロックの子供たち」のタイトルの由来などを調べましたが、このストーリーのモデルには、

 

少なくとも、行員時代に「バブル期」を経験した、池井戸潤さんならではの発想があると思います。

 

おすすめの記事